どうも、サクです。
本日よりシリーズものを更新していこうと思います。
シリーズ第1段は、「肩」に特化して、解剖学、運動学を一緒に学びたいと思います。
<目次>
◎肩甲上腕関節
1.骨の話
・肩甲骨の構造
・上腕骨の構造
2.関節の話
・どんな関節?
・どんな動き?
3.靭帯の話
・靭帯の種類
・靭帯の働き
1.骨の話
・肩甲骨の構造

- 三角形の平たい骨(扁平骨)
- 前後にくぼみがある
前:肩甲下窩
後:棘上窩、棘下窩 - 鎖骨と60°の角度を作る(棘鎖角)
- 多くの靭帯がつく
ヒューマン・アナトミーアトラス2020より
肩甲骨は三角形であり、前後に浅いくぼみをもっています。
この前のくぼみは肩甲下窩といいます。
後ろのくぼみは、肩甲棘という突起物で上下に分けられ、
上を棘上窩、下を棘下窩といいます。
肩甲下窩に肩甲下筋、棘上窩に棘上筋、棘下窩に棘下筋という、
筋肉がつきます。
鎖骨とは、60°の角度( 棘鎖角 )で付いており、肩鎖関節をつくる。
肩鎖関節は別の記事で説明します。
また、肩甲骨には多くの靭帯が付いています。
靭帯については、あとで解説します。
・上腕骨の構造

- 肩甲骨に付く
- 上腕骨頭は後ろにねじれる(後捻角)
- 上腕骨頭は肩甲骨関節窩の3倍大きい
- 上腕骨頭は上腕骨に対して135°傾く
(頚体角) - 上端に大結節、小結節という突起をもつ
ヒューマン・アナトミー・アトラス2020より
上腕骨は、肩甲骨の関節窩というお皿のような部分にぶら下がるような形でついています。
そのため関節の中で最もよく動き、最も不安定です。
その不安定さを補うために強力な靭帯と関節包という組織で守られています。
上腕骨の頭の丸い部分は、上腕骨頭といい、肩甲骨のお皿の3倍大きいです。
また、上腕骨頭は上腕骨に対して、135°(頚体角)の傾きがあります。
上腕骨の上の部分には、大結節と小結節というふくらみがあります。
ここに様々な筋肉がついており、さわる場所の指標としても知られています。
2.関節の話
・どんな関節?

- 球関節
- 多軸性関節
- 肩甲-上腕リズムによる動き
- 静的・動的支持機構により制御
ヒューマン・アナトミー・アトラス2020より
この関節は球関節と呼ばれており、ボールのように自由に動きます。
自由に動くため、軸となる部分がたくさんある多軸性関節と呼ばれています。
肩甲骨と上腕骨は手を横に広げるときに、一定のリズムで動きます。
これを肩甲-上腕リズムといい、この関節の特徴的な動きです。
さらに特徴的なことは、肩が上がるときに上腕骨頭が肩甲窩を滑るよう下がりながら上がっていきます。
これは、肩甲窩の近くに腋窩陥凹というポケットの様なくぼみに入るためです。
肩甲上腕関節はさまざまな方向に動くため、不安定です。
そのため周りは多くの軟部組織で覆われ、その軟部組織は運動の制限をします。
この関節を支える軟部組織は2種類あり
・静的支持機構
・動的支持機構
と呼ばれます。
静的支持機構は、関節唇・関節包・靭帯です。
動的支持機構は、主に筋肉です。
・どんな動き?
動く方向は
・前後
・左右
・回旋
・水平移動(肩90°の位置より)
と多様に動きます。
しかし、その動きは肩甲上腕関節のみの動きではなく、
複数の関節が動くことによって、運動を可能にしています。
残念ながら肩甲上腕関節だけでは、肩はほとんど動きません。
肩の動きに関する関節をまとめたものは以下の記事に書きました。
いくつかの関節の動きが重なって、肩関節は動いています。
3.靭帯の話
最後は、肩を支える靭帯の話です。
まずは、代表的な靭帯から
- 関節上腕靭帯
- 烏口上腕靭帯
- 烏口鎖骨靭帯
- 烏口肩峰靭帯
<関節上腕靭帯>

ヒューマン・アナトミー・アトラス2020より
この靭帯は3つに分かれています。
・上関節上腕靭帯
・中関節上腕靭帯
・下関節上腕靭帯
これらは手を上げるときに、上腕骨頭の安定化とねじれる方向への制限をかける役割を持っています。
<烏口上腕靭帯>

ヒューマン・アナトミー・アトラス2020より
この靭帯は、関節を包む膜である関節包の補助としての役割があります。
また適度な伸縮性をもち、動きに柔軟な対応ができます。
しかし、その分ほかの靭帯より損傷しやすい欠点もあります。
<烏口鎖骨靭帯>

ヒューマン・アナトミー・アトラス2020より
この靭帯は2種類あります。
・菱形靭帯
・円錐靱帯
の2つをまとめて烏口鎖骨靭帯と呼びます。
菱形靭帯は、肩甲骨を内側に入りすぎないように制限をかけます。
ここが固くなると、背中に手が回りにくくなります。
円錐靱帯は、肩甲骨が外側に動きすぎないように制限しています。
<烏口肩峰靭帯>

ヒューマン・アナトミー・アトラス2020より
この靭帯は、補助や制限という役割とは少し異なります。
この靭帯があることによって、上腕骨頭の上に屋根が作られます。
烏口肩峰靭帯によって作られた屋根のことを鳥口肩峰アーチと呼び、
ここが第2肩関節と呼ばれる機能的な関節を作っています。
この機能的関節の中に滑液包という関節のあぶら袋のような組織をもち、
関節をスムーズに動かすために、1役買っています。
長くなりました、本日はここまでです。
また次回の記事でお会いしましょう。
「肩マスターへの道 vol.1 ~肩甲上腕関節~」への1件のフィードバック