今回は神経解剖学というテーマで「小脳」についてお話します。
<目次>
3つの小脳
・脊髄小脳
・前庭小脳
・大脳小脳
小脳の3つの脚
・下小脳脚
・中小脳脚
・大小脳脚
なぜこのテーマになったかと言うと、
現在介入中の患者さんを通じて、もう一度基本に立ち直ろうと思ったのことが
きっかけです。
基本に立ち返ることで、新しい介入方法や質の高い臨床推論を
立てることができるようになると思います。
小脳は大きく分けて
- 半球
- 虫部
- 片葉
の3つに分かれます。
その3つが目次にある小脳の役割を果たしています。
【脊髄小脳】

ヒューマン・アナトミー・アトラス2021より
<役割>
- 姿勢の制御
- 四肢の運動制御
に関与します。
<ルート>
固有感覚→脊髄小脳路
→①小脳虫部(頭頸部・体幹)→室頂核→網様体
→②小脳半球内側部(四肢)→中位核→赤核、視床(VL核)
【前庭小脳】

<役割>
- 平衡感覚
- 眼球運動制御
に関与します。
<ルート>
前庭神経核→下小脳脚→片葉・小節葉
【大脳小脳】

<役割>
- 運動の企画
- 運動の開始
- 運動のタイミング
これらの調整に関与しています。
<ルート>
(反対側の)大脳皮質→橋核→中小脳脚→小脳半球外側部→歯状核
→①赤核小細胞部
→②視床VL核

続いては小脳を繋いでいる3つの脚(あし)についてです。
【下小脳脚】
<連絡>
脊髄、延髄、小脳
<役割>
求心性と遠心性の両方の軸索を含む。
小脳への入出力系に関与している。
【中小脳脚】
<連絡>
橋と密に関わる。
<役割>
求心性軸索のみ。
小脳への入力系の経路である。
【上小脳脚】
<連絡>
小脳、中脳、間脳
<役割>
主に遠心性軸索をもち、小脳からの出力系の経路である。
中脳下丘で交叉することが特徴。
学生のうちは「小脳=運動学習」という認識が強いです。
しかし、小脳には部位別に役割があり、そのどれもが学習につながっている、
という理解をしてから「小脳=運動学習」という認識を持ちましょう。
本日はここまで。
いつもより少し短めにしてみました。
また次回の記事でお会いしましょう。