病棟を動かすシリーズ第3弾です。
今回はVol.2で作った症例報告をどのように伝えるか、
これをお話しします。
結論から言うと【報告の目標を伝える】ことです。
報告することでそこから何を学び、どのように行動し、なぜ必要か他者に伝える
その仕組みを作ることを目標として話すことが大事です。
<目次>
◎報告の伝え方
○何を学ぶか
・タイトル
・裏付け
○どうやって行動するか
・いつ動く
・動き方
○他者への伝え方
・目的のかけ算
・誰でも通じる言葉
○何を学ぶか
<タイトル>
相手に学びを与える時に、このタイトルが非常に重要となります。
タイトルはいわば「おもてなし」と同じです。
今からこんなことを話しますよ、と前もって相手に伝えることで
相手の理解度がグッと深まります。
逆にタイトルと違うことを伝えていると全く相手の記憶に残りません。
タイトルを明確に、簡潔に、しっかりと伝えましょう。
注意点はあいまいなタイトルは避けること。
「ポジショニング」「〇〇を呈した症例」など伝えたいことが何なのか
パッとみて分からない言葉は使わない。
「ポジショニング」であれば「仰向けに対するクッションの位置」や
「はさみ足に対するクッションの入れ方」などより具体的な内容にして
伝えることです。
<裏付け>
これは報告に対する証拠集めです。
人は信頼の度合いによって聞く姿勢が変わります。
信頼は
- 実績
- 経験
- 資格
などによって作られます。
そこで自分に実績がない場合は、他者の実績などを借りましょう。
それは「文献」です。
自分に実績がなく、それでも伝えられる強い根拠が欲しい時に関連する報告の
文献を提示しましょう。
それだけでも説得力が強くなります。本来、文献とはそのように使います。
また自分の経験として上手くいったことにも、裏付けとして後から根拠となる
報告例や参考書などの内容を抜粋してもいいと思います。
○どうやって行動するか
<いつ動く>
学ぶ目的や手順を話したら、その後は動き方について話しましょう。
理屈は分かったけど、実際には何をやればいいのか。
それを短く、分かりやすく伝えましょう。
まず伝えることは「いつやるか」です。
Vol.1でもお話したように、まず病棟の流れを掴みましょう。
https://saku-rada.com/move/ ←Vol.1はこちらをクリック
そのあとで、病棟の時間に合わせて動く時間を伝えます。
例えば、午前中は申し送りや入退院、おむつ交換など慌ただしいイベントが続きます。
そのため、トイレ誘導の指示やプチ勉強会などはお昼以降に伝えましょう。
伝えると良い具体的な内容は
- 時間(何時に動くか)
- 頻度(1日何回か)
- 期間(1時間なのか1週間なのか)
病棟はある程度時間で動いていますから、14時〜15時の間など
伝えるときに幅を持たせておくといいでしょう。
逆に14時くらいと伝えるのはやめましょう。
あいまいではなく、あくまでも幅を伝えましょう。
頻度は1日のカウントで問題ありません。
1日何回行うか、10時と14時などと伝えると分かりやすいと思います。
病棟の空いている時間を確認し、相談の上伝えましょう。
期間も明確に伝えます。急性期であれば「2〜3日」
回復期であれば「4〜5日」慢性期であれば「1週間」など
しっかりとした数字で伝えましょう。
<動き方>
いつ動くかを伝えたら、それと一緒にやり方も伝えます。
伝え方は
- 見る
- 聞く
- 動く
を意識して伝えます。
例えば、移乗を介助するとき
実際に病棟に出向き、患者さんと一緒に練習する場面を見てもらい
その後実際に行ってもらう方法が最も伝わりやすいです。
そして、同時に介助方法の資料も添えておきます。
口で伝えるだけだと伝言ゲームのようにだんだん変わってきてしまいます。
そこで紙ベースで資料も作っておきましょう。
○他者への伝え方
最後は学んで行動した結果を、他のスタッフへ報告するときに大事なことです。
人によって伝え方が違っては、病棟のやり方としては統一せず、
長続きしません。
やり方は誰でも同じようにできることが重要です。
そのためには学んで、行動してきたことがなぜ必要なのか、
それをストーリーにして話すといいです。
そのストーリーを作るときのコツはかけ算です。
<目的のかけ算>
目的を掛け合わせることで、そこにストーリーが生まれます。
例えば、足の拘縮予防を目的としたとき、
「この人は足の拘縮が強いから足の下にクッションを入れている。」
これだと同じ人がもう1人いたら目的が同じであやふやになります。
そこで足の拘縮予防×寝返り動作改善を目的としたとき
「この人は足の拘縮が強くて、自分で寝返りが困難なため、足にクッションを入れてベッドでの動きやすさを作っている」
これだと目的にストーリーが出てきますね。
<誰でも通じる言葉>
最後は言葉の選び方です。
セラピストはつい「筋緊張」「伸展パターン」など専門用語を連発しがちです。
病棟には介護職の方もおり、専門用語が通じないことも多々あります。
そこで「関節が硬い」「動きにくい」「力が入りすぎる」など
誰にでもわかる言葉を使って説明する癖をつけましょう。
これは練習しけば自然とスラスラ出てくるようになります。
言葉は時としてチームを隔てる壁になります。
自分で壁を崩して、チームとして病棟と上手くやっていけるように
仕組みを作っていきましょう。
本日はここまでです。
また次回の記事でお会いしましょう。